
赤城山の四季

わたらせ渓谷鐵道各駅イルミネーション
2019.11.18(月)
峡谷が色彩にあふれる春・秋には、毎号満席が続くほど賑わいを見せるトロッコ列車でおなじみのわたらせ渓谷鐵道。冬には、ダイナミックな景色を楽しむ新緑や紅葉の季節とは一変して、静かに美しい路線となる。
日中は雪に覆われた渡良瀬渓谷の美景に郷愁を誘われ、日が沈めば漆黒に映えるイルミネーションに彩られた文化財の駅舎の幻想的な姿に心躍らせる。

2019年12月1日~2020年2月29日
期間中土日祝日はお食事とともにイルミネーションを楽しむ「イルミネーションの旅」開催。
冬のわたらせ渓谷鐵道
ヘッドランプが線路にうすく積もった雪を照らす。住宅街を抜けると、闇に包まれた渓谷に沿ってわ鐵が走る。いくつかのトンネルを抜けると、車窓には鮮やかな光彩の別世界が飛び込んでくる。暗闇の先にともされたイルミネーションは周囲の雪に淡く反射し、レトロな駅舎が幻想的なきらめきを湛えて佇んでいる。深夜でも光にあふれる都会のそれとは違い、雪につつまれた暗闇とのコントラストは感動的に美しい。
始発の桐生駅から終点の間藤駅まで全17駅で、各駅がそれぞれ趣向を凝らしたイルミネーションで迎えてくれる。駅を発し漆黒の闇を抜ける度に、繰り返し幻想的な光景に新たな感動が車窓に訪れる。
冬の日中の渡良瀬渓谷もまた、ぜひ一目は見ておきたい端整な美景の連続となる。鉄橋から眺め渡す雪の峡谷は、日が差していれば白銀の輝きを湛え、雪が舞えば郷愁の叙情を誘う。冬の”わ鐵”を満喫するなら午前中に桐生を出発する。車窓に渓谷の雪景色を映す列車に揺られて各駅・各地をめぐり、日暮れのあとの列車でイルミネーションを堪能しながら帰途に着く。まるで二本立ての映画を見るような一日を満喫できる。
桐生~間藤の各駅で乗り降りできる1日フリー切符は、水沢駅の温泉センター、富弘美術館、陶器と良寛書の館、それぞれの2割引クーポンが付いてお得な1,880円で販売されている。
わたらせ渓谷鐵道イルミネーションは、12月から2月末まで、17時~各駅最終列車通過まで点灯される。
桐生駅発は16:46発以降の列車から。間藤駅発は16:31発なら神戸駅以降で点灯、それ以降の便では全点灯駅で楽しむことができる。
期間中は土日祝日にあわせて、往復運賃とお弁当・お茶がセットになった「イルミネーションの旅」ツアーが行われる。(大人¥2,650、小学生¥2,150 未就学児¥1,050 電話でご予約を)
足尾山地に源を発し、赤城山の裾野の東端を流れ下る渡良瀬川。わたらせ渓谷鐵道・愛称「わ鐵」は、始発の桐生駅から渡良瀬川の渓谷に沿って遡り、銅山で栄えた栃木県の足尾に至る44.1キロの鉄道だ。
明治~昭和にかけて足尾銅山の鉱石や物資の運送を担った「足尾線」が、わ鐵の前身。昭和48年の足尾銅山の閉山とともに国策産業路線としての役割を終え、現在は「わたらせ渓谷鐵道」となり、渡良瀬川の渓谷を縫ってダイナミックな車窓を楽しめる路線として人気を博している。
4月~11月の土日祝日に大間々~足尾間で運行される観光トロッコ列車の「わたらせ渓谷号」は、シーズンには毎号満席となる賑わいを見せる。乗車日の1ヶ月前からの予約開始にあわせて席を確保したい。レトロなディーゼル機関車が開放感たっぷりの客車をゆっくり牽引するわたらせ渓谷号で赤城山の東裾の名所を辿る。大間々駅から出発するとすぐに高津戸峡、つづいて本宿駅~水沼駅間では古路瀬渓谷と、新緑と紅葉の時期には息を呑むような眺望の2つの渓谷を縫うように走り、やがてダム湖100選にも選ばれる壮大な美観を誇る草木湖の上端を横切り、足尾へと続いていく。
終着点の足尾銅山周辺には、700メートルにわたって見学することができる坑道跡や、坑口、精錬施設跡、古河財閥の迎賓館「古河掛水倶楽部」などが残る。煙害地での植林活動が行われている現在の姿などを通し、鉱山と公害対策の歴史を知ることができる。
トロッコ列車の始発となる大間々駅。木造モルタルの駅舎は、シンプルな直線の組み合わせが端整であり、また可愛らしくもある。昭和16年の竣工で、以来変わらぬ姿で利用され続けてきた。続く上神梅駅は大正元年の建築で、深い庇を持った平屋の姿と、風雨に耐えた茶灰色の木材が、渋く赴き深い。春~秋には線路脇の花々に囲まれ、懐かしい絵葉書のような風景となる。
実は、大間々駅も上神梅も、国の登録有形文化財(建造物)だ。明治末期の開業から昭和初期までの設備を大切に受け継いできたわ鐵では、全線にわたり、木造駅舎や、土木構造物など合計で38の施設が登録有形文化財として登録されている。レンガや石で作られた美しい馬蹄型のトンネル、明治に作られた鋼鉄の橋梁などの歴史的建造物・構造物がいまでも現役で活躍している。線路をまたぐように架けられた雨水よけの架桶や、フランス式とイギリス式と見られるレンガ積み、100年前の国産トラスなど、細かい見所は数え切れない。予備知識をたっぷり詰め込んで乗車すれば感慨はひとしお。
そんな歴史的施設とは一転して、わ鐵は現代の施設も個性的だ。水沼駅のホームには、全国でも珍しい露天風呂やサウナまで揃った「水沼駅温泉センター」が、そして神戸駅には、元々は東京と箱根を結ぶロマンスカーだった客車で食事が楽しめる「列車レストラン・清流」がある。清流の車体は東武デラックス・ロマンスカーとして走っていた当時の姿にきれいに塗装されて雰囲気は抜群、桐生市黒保根の牧場で育った「やまと豚弁当」などが楽しめる。
わたらせ渓谷鐵道株式会社
所在地:群馬県みどり市大間々町大間々1603-1
電話番号:0277-73-2110
わたらせ渓谷鐵道
水沼駅温泉センター
アクセス:
浅草駅東武特急りょうもう号→相老駅乗換→わたらせ渓谷鐵道
東京駅上越新幹線→高崎駅→両毛線桐生駅乗換→わたらせ渓谷鐵道
東京駅東北新幹線→小山駅→両毛線桐生駅乗換→わたらせ渓谷鐵道
各駅の駐車場等の案内はわたらせ渓谷鐵道サイトの「各駅案内」に。
http://www.watetsu.com/kakueki/kakueki_top.html
